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『エスプレッソを考えるにあたり大切なこと』
イタリアで100年近くも飲み続けられている「伝統的なエスプレッソ」の魅力。
世界のコーヒーの流行は日々移り変わるのに、なぜ、イタリア人は変わらないエスプレッソを飲み続けるのか、それを考えながらイタリアを再び飲み歩いた。
エスプレッソを今まで何百杯と飲んでいるが、一番の味に出会い、衝撃を受けたのは今回のイタリアの旅だった。

「エスプレッソ」は、豆の味を抽出するというだけでなく、口の中でのバランスと調和が最も重要だと思う。
それはイタリアのバールでエスプレッソを飲む際、どの店でも感じられること。
まるでビターチョコを飲んでいるかのような、力強く、深みがあり、丸さを感じさせる風味。
圧力をかけて抽出することで、コーヒー豆の蜜を絞り出している。
酸味はほとんどなく、後味はロブスタのふわっとした甘み。余韻が長く、香りが残る。
ふくよかで、香り高く、口の中で転がってとろけるような、幸せな気持ちを感じるコーヒー。
ドリップで落とすこととエスプレッソで絞り出すこと、抽出方法が違うだけでコーヒーがここまで変わるのかと驚くほど、甘くて濃厚な液体。
飲み込んだ後も鼻腔に広がるアロマ。
他のコーヒーでは出せない感覚。

このコーヒーを自分で作りたいと思いながら日々コーヒー豆を焙煎、ブレンドしている。コーヒー豆はスペシャルティコーヒーからそうでないものまで、いいと思ったものを幅広く使う。
すっきりしたエスプレッソを作るためにはアラビカ種100%が適している。
また、イタリアの味を出そうと思うときは、イタリアで今も使われているロブスタ種の豆を配合する。
エスプレッソに不可欠なとろっとした口あたりを持つためである。
ロブスタ種には麦に似た独特な香りがあるので、エスプレッソ全体の味を邪魔しないように厳選した豆だけを使う。
現在、世界的な動きとしてカップオブエクセレンス(COE)やスペシャルティコーヒーなど、すばらしい風味を持つ豆を生産、精製、流通し、果実としての生豆の良さを評価して使用することが主流になってきている。
柑橘系の酸味、ハーブのようなアロマなど、ワインの味覚のようにコーヒーを表現し、焙煎で余分な味をつけることなくありのままの豆の良さを表す。
リンゴやバナナなど身近な果物に手を加えずそのまま食べることが一番おいしいように、コーヒーも豆の持ち味をそのまま生かすことがベストだということだろう。
それはコーヒーにとって、またコーヒー農園や生産者にとっても喜ばしいことで、その豆の価値や良さを理解して楽しみ、それに見あった対価を支払うことが、生産農園のモチベーションを上げることにもつながっている。
素晴らしい品質の豆を作ろうとする生産者、それをサポートするカッパーやバイヤー、ロースターやバリスタ。
昔と比べて日本でも美味しいコーヒー豆と出会えるチャンスが増えてきたように思う。
そのようなコーヒーをシングルで味わうことももちろん素晴らしいが、様々な味の豆をバランスよく調和させて、オリジナルの1杯のエスプレッソにし、凝縮した旨みで飲む人に最高の気分と時間を味わってもらうこと、または私のコーヒー豆で抽出することによって、他の人にも同じように喜びを共有してもらうこと、これが私のできることで、やりたいことだと思っている。

イタリアで飲み継がれているエスプレッソを、日本でも「美味しいコーヒー」として作り続け、広げていきたい。
 

The God of espresso is in the details.
Green beans - Roasting- Blending - Packing - Aging - Extraction Aiming for the ultimate Italian espresso - a more complete and evolved version
香り、味、余韻を楽しむところなどエスプレッソは赤ワインと似ている。
エイジングによって狙い通りの味がつくられるプロセス。
より質の高いエスプレッソのために、原料の買い付け、保管、パッキング、エイジング、すべてのプロセスを見直して理想のエスプレッソを追求する。
自分のスタートした味を見つめなおし、より進化した究極のイタリアンエスプレッソの完成形を目指す。